山口言語教育研究会「襷の会」 設立趣意書



 憶良が「言はむと欲へど言窮まる、何を以てか言はむ」と明言しているように、言葉は十全ではない。自己の内面を言い尽くすことはできないし、仮に、言い得たとしても相手に正確に伝わるとは限らない。それでも、言葉に縋ろうとする。教育は一条の望みに託す営みに他ならないからである。
 人は言葉によって確固たる自己を確立し、言葉によって他者との関係を構築する。昨今の憂うべき社会問題も言葉に対する不審に起因するものも少なくない。
 「言葉への信頼を獲得する方途を求める」という目標に対して、国語教育に携わる者を含め、広く言語に関心をもつ者の結集を図り、互いの認識と実践を披瀝し合い、共に課題解決に向けて協働する仲間が集う足場を創りたい。さらに世代交代の激しい状況下で、次代を担う若手を育てる人的環境を創り上げることも急務である。
 与えられたものを越えて、自らが学ぶ意欲をもち、参画しようとする姿勢こそが、自らの課題を解決していく力を培う。いわば、身銭を切って何物かを求めていこうとすることが、真に学ぶ契機を得ることになる。
 そこで、世代や立場を越えて言語教育について語り合い、言葉への信頼を獲得する方途を求めるために、山口言語教育研究会”襷の会”を発足させる。


                       山口言語教育研究会設立準備幹事会
平成30年4月1日




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